会話における負担と広がりやすさ
夕方、商店街を歩いてたら、リュックを背負った小学生の少女が本気で走っていた。
顔を赤らめて、猛ダッシュで。
それを見たカップルらしき男女の、アイシャドウが赤い女の子が
「間に合わないんだろうなぁ…」
と感想を漏らした。
そうだね。
と思ったが、すごい違和感を感じた。
なんか猛烈な違和感。
面白くない、とかじゃなくて。自分ならそう言わない、って感じ。
その原因を考えてみると、結論が出た。
その感想では話が広がらないから、だ。
その後に、「私もそういう経験があったなぁ、思い出すなぁ」とかがすぐ続けばいいが、「…」では空白の時間が生まれてしまう。
「間に合わないんだろうなぁ…」の後、第2者はどうしたらいいのだろうか。
まずそれに反応する必要が出てきてしまう。
やはり上記の通り、「俺もよく走っていたなぁ」であればいいのか。そうなれば、会話は続く。
しかし、第1者は感想を述べただけだ。広げたわけではない。
これは第2者が広げたのだ。
それではあまりにも第2者の負担がでかい。
あるいは、第2者が「すっごい怖い先生がいるのかもね」と相槌してあげる。
しかしこれも第2者の負担だ。
想像しやすいシチュエーションを提供している。
そしてこれをするには、やってみるとわかるが、非常に時間がかかる。
その時間なんと、2、3秒だ。
早い人はコンマでいけるかもしれない。
数秒やん!
と思うかもしれないが、こと会話においては、これは途轍もなく途方も無い時間なのだ。
電話をしていると考えて欲しい。
ぺちゃくちゃと世間話をしているとする。
そこで、電波が悪くなり、タイムラグが起きたとする。
するとどうなるか。
会話は途切れる。
テンポもわるく、今までの流れが全て断ち切られる。
ゼロとは言わないが、元に戻すにはそれなりの労力がいる。
つまり、これらには、負担が伴うのだ。
日常会話や雑談で、「負担」とか言われても…。
もっと楽に、ラフに、ダラダラと喋っていたい気持ちもわかります。
が、違和感に思ってしまったのだから仕方がない。
別に広がりやすい感想を述べろ、と言ってるわけでもない。
ただただ気になったのだ。
自分ならどう言うだろうか。
たとえば、第1者が漏らす感想が「怒られるのかなぁ…」であれば、すごい広がりやすい。
そこには既に、「間に合わなくて遅刻する」というシチュエーションが作られているから。
「間に合わない」という事実(仮定)を踏まえて、そのせいで何かが起こることを言っている。
さらに「怒られている」というワードがあることで、第2者がエピソードを想起しやすい。
これは第1者が広げたものである。
俗に言うツッコミであるだろう。
一見、仕事をしてないように見えても、そしてものすごく細かい違いやステップではあるが、全然違ってくるんじゃないのかなぁ、と思いました。
ということを、ひとりで考えていた。
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