「戦略的交渉入門」読書感想文
『戦略的交渉入門』は、交渉に関する誤解を解き、効果的な交渉術を学ぶための本でした。
僕は交渉というか、空中戦が本当に苦手で、リアルタイムストラテジーのゲームもそうですがコミュニケーションを避けがちなんですよね。個人的には組織内のコンフリクトや同調圧力へ対処も大事だなーと思いました。
要は自己認識を正しく行い、相手の要求もちゃんと理解する、ということが交渉では大事とのことですがこれが難しい。まず自己認識において、自分の要求を正しく理解すること、第3の案や決裂時のプランを用意しておくこと、ミッションはなにかを明確にすることと、最低の条件は何かを洗い出しておくこと、などが事前準備に含まれます。そして相手も同じくらいの背景をもっていてその上で自分の利益を最大化するための戦略戦術を駆使しながら合意に持っていくのです。ひえー、難しい。
ただそういったステップが言語化されていて、もし交渉が必要なのかなと思った場合にはここに立ち返ってくるとよいのかなと思えた良い書籍でした。
交渉に対する3つの誤解と3つの原則
本書では、交渉に関する以下の3つの一般的な誤解を指摘しています。
- 交渉は勝ち負けである: 交渉は勝者と敗者を生むゼロサムゲームではなく、双方が利益を得る「懸命な合意」を目指すべきです。
- 準備は無駄である: 交渉の成功は事前準備に大きく依存します。準備が交渉の成否を左右すると言っても過言ではありません。
- 交渉はWin-Winを目指すものだ: Win-Winという言葉にとらわれすぎると、感情的な駆け引きに終始し、建設的な合意形成が難しくなります。
これらの誤解を解消するために、以下の3つの原則が提唱されています。
- 論理的に考える: 感情に流されず、論理的に交渉を進めることが重要です。
- 事前準備を徹底する: 交渉の成功は準備にかかっています。相手の情報を収集し、自分の立場を明確にしましょう。
- 利点に焦点を合わせる: 自分と相手の利益を明確にし、双方にとって最適な解決策を見つけることが大切です。
事前準備の重要性
交渉の成功には、以下の5つのステップで事前準備を行うことが推奨されています。
- 状況の把握: 利害関係者や外部環境を分析し、交渉の全体像を理解します。
- ミッションの設定: 最終的に達成したい目標や利益を明確にします。
- 自分の強みを探す: 交渉で活用できる自分の強みや資源を洗い出します。
- ターゲティング: 交渉の協議事項を特定し、提示条件や譲歩の限界を設定します。
- BATNAの検討: 交渉が決裂した場合の代替案(Best Alternative to a Negotiated Agreement)を考えておきます。
感情と心理バイアスへの対処
交渉プロセスでは、感情や心理的バイアスが意思決定に影響を与える可能性があります。とりわけ、「アンカリング効果」のような初期情報に基づく偏りには十分な注意が必要です。このようなバイアスを軽減するためには、以下のアプローチが推奨されます。
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相手の主張や提案の根拠を綿密に検討し、論理的な整合性を評価する。
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即答を避け、適切な時間を設けて冷静な判断を下す。
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感情的な影響を最小限に抑えるために、事実に基づいた議論を徹底する。
これらの対応策を駆使することで、交渉全体の質を高め、長期的な利益を追求するための有利な立場を築くことが可能となります。
パワープレーへの対処法
交渉相手が強硬な態度を取る「パワープレー」に対しては、以下の対処法が有効です。
- 相手の主張を真っ向から否定せず、具体的な提案内容を尋ねる: 「ご提案を受け入れた場合、最終的にどのような合意内容になるのか教えていただけますか?」と質問することで、相手の立場を明確にし、建設的な対話を促します。
- 感情的な反応を避け、冷静に対処する: 相手の態度に影響されず、交渉の目的と目標に集中しましょう。
特にアンカリングとか二分法とかへの対処は必要だと思いましたね。
まとめ
『戦略的交渉入門』は、交渉を成功させるための理論と実践的な方法を提供しています。事前準備の徹底、感情や心理バイアスへの対処、パワープレーへの対応など、具体的な戦略を学ぶことで、より効果的な交渉が可能になります。交渉に携わるすべてのビジネスパーソンにとって、必読の一冊と言えるでしょう。
あー健康になりたい。AI最高
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